共通テスト2021世界史の解説

共通テスト2021世界史の解説を行います。

世界史は暗記科目ですが、共通テストには読解や思考を促す問題が多々見られますので、

「どういった思考が必要なのか」

という点からアプローチできればと考えています。

第1問 

問1

資料には「始皇帝の遺言を偽造した」「始皇帝の後継者として胡亥を推薦した」とありますが、

これを行った人物を問う問題ではありません。

ここでは、

李斯:①始皇帝に仕えた②法家であり、法による統治を唱えた

の知識を使います。

資料から読み取るべき情報は「始皇帝」のみということですね。

これにより、3番が答えです。

問2

①始皇帝が行った焚書・坑儒は主に儒学を統制したものです。よって、「医薬・占い・農業関係」は対象外だっただろうと考えます。

(実際に山川用語集には「『医薬・占い・農業関係』は対象外だった」という記述がありますが、それを覚える必要はないと思います。)

②教皇の至上権を確認した公会議はトリエント公会議です。

③正解となる選択肢です。「①②④が間違っているから」と、消去法的に選ぶことになると思います。

④「赤狩り」を行ったマッカーシーは、アメリカの上院議員です。

問3

傍線部bのうち、

「自由な経済活動を重んじ」がキーワードとなります。

司馬遷が批判するとしたら、「国家が経済活動に介入した政策である」と考えるべきです。

ということで、

国家が物価を統制し、経済活動に介入している②を選びます。

問4

ブロックの助言の内容から、

「貴族の財産:奪われなかった⇔教会の財産:没収された(に違いない)」

の対比構造を読み取ります。

すると、「あ」が正解だとわかります。

また、領主の三つの可能性として

①教会に属していた場合:利用しやすい

②亡命した俗人:①には劣るが、悪くない。

③亡命しなかった俗人:極めて厄介。

といった分類をしているので、

上述の「貴族の財産:奪われなかった⇔教会の財産:没収された(に違いない)」に加え、

「亡命した貴族の財産(資料):押収されて保管されている⇔亡命していない貴族の財産(資料):貴族個人が所有している」という対比構造が読みとれます。

この対比構造からZが正解であると分かり、記号では③を選びます。

問5

資料に「1789年以前」「教会」「貴族」「フランス」とあるので、この資料の「革命」はフランス革命のことであると考えます。

そうすると、「嫌われた体制」はアンシャンレジームのことだと分かります。

④が正解です。

①は資本主義体制、②は古代ギリシアのポリス・スパルタのリュクルゴス制、③は19世紀ジャワ島の制度です。

第2問

問1

「金貨鋳造量が初めて500万ポンドに達する前」なので、

1776年前後と考えます。

年号の暗記を問う問題と考えても良いですが、

「イギリスにおける金貨鋳造量の増加」との関連を問う問題と考えると、

イギリス重商主義政策にアメリカ植民地が抗議した「ボストン茶会事件」が最も関連性が高いと考えることになります。

よって、正解は②と判断します。

問2

「金貨鋳造量が10年以上にわたって100万ポンドを下回り続けた」のは、グラフ1から

1799年~1813年とわかります。

この、19世紀初頭はナポレオン戦争の時期ですので、イギリスはフランスとの戦いに直面していたと考えます。

また、グラフ2をみると1799年~1813年に紙幣の流通量が急増していることがわかるので「紙幣を大量に発行する」が正解だとわかります。

③が正解です。

問3

①イギリスの金貨である

②女性の顔である

③19世紀前半である

という3つのヒントから、ヴィクトリア女王の肖像であると考えます。

すると、

インド帝国の皇帝に即位した実績があるので、①が正解とわかります。

なお、②はアン女王、③はエリザベス1世、④はジョージ1世です。

問4

16世紀の中国でおきた銀が関連する出来事は、

①メキシコや日本から銀が流入する

②それにより、土地税と人頭税を一本化して銀納する一条鞭法が実施される。

です。よって、①は銀の流れが逆になっていて×で、③が正解とわかります。

なお、②の地丁銀制は清の康熙帝の時代に始まっているので17世紀の出来事です。

④のアヘン貿易は19世紀の出来事です。

問5

半両銭は、秦の始皇帝が統一貨幣と定めた銅銭です。

元代の交鈔は紙幣です。金属貨幣と比べると発行しやすいので、濫発されて経済混乱を引き起こすことになります。

よって、③が正解です。

問6

キの人物は「父なるトルコ人」「トルコ人の父」という肩書から、

ムスタファ=ケマルであると考えます。

彼が行ったのはトルコの近代化(≒欧米の制度を導入すること)ですから、

アラビア文字を採用したのではなく、ローマ字を採用しました。

よって④を選択します。

第3問

問1

・『デカメロン』の作者はボッカチオです。

・『デカメロン』、「イタリア」「フィレンツェ」「14世紀」といったフレーズからこの時代の文化=「ルネサンス」と考えます。すると、「人文主義」がキーワードであるとわかります。

以上より、正解は④です。

問2

・14世紀の西欧で流行した疫病はペストです。

・資料に「オリエントとフィレンツェでは症状が異なる」と書いてあります。(Xは誤り)

・アジアからもたらされたとされ、西欧では農民の地位向上や領主の没落をもたらしました。

以上から、⑤が正解です。

問3

①:モンテ=カシノ修道院を創建したのはベネディクトゥスです。

②:正しい選択肢です。

③:クリュニー修道院が改革運動を行ったのは11世紀以降で、クローヴィスは5世紀・6世紀の人物です。

④:修道院を解散させたイギリス国王はヘンリ8世です。

問4

科挙では『五経正義』などをテキストとし、儒学の理解が主に問われました。

よって、④が誤っています。

問5

ロシアでの革命運動において、

・農民の覚醒を促したのは体制を変革しようとした革命家

・農民の覚醒を防止したのは体制を維持しようとした官僚

であると考えられます。

また、19世紀ロシアの革命引導を主導したのはナロードニキで、そのスローガンは「ヴ=ナロード」でした。

よって、正解は②です。

問6

農奴解放令を出したロシア皇帝はアレクサンドル2世です。

そして、アレクサンドル2世がクリミア戦争に敗戦したときにロシア皇帝であることを知っていればYを避けてXを選ぶことができます。

正解は③です。

問7

柿田さんの質問票の「社会主義」、作家の経歴の「トロツキー」「ソ連」といったフレーズからソ連での出来事を選ぶと考えて①を選びます。

問8

問題文に「18世紀の中国の朝廷」とあるので、清朝の話だとわかります。

すると、

四庫全書:清の皇帝・乾隆帝の命で編集された。

永楽大典:明の皇帝・永楽帝の命で編集された。

資治通鑑:宋代に司馬光が編纂しました。

この知識で①②に絞ることができます。

また、波線部に「漢人の衣裳」「服」「皮衣」とあるので外交ではなく文化・風俗の話題だと考えて②を正解とします。

第4問

問1

「ルーマニアの独立」が焦点となった19世紀の条約は露土戦争のあとのサン=ステファノ条約です。

この条約の内容にイギリスなどが猛反対してベルリン会議が開催されることになりました。

正解は②です。

問2

サン=ステファノ条約で自治が承認され、ロシアが事実上支配下において地中海進出のじつげんを図ったのはブルガリアです。

「ロシア⇒地中海」のルートを確保しなくていはいけないので、場所はbです。

問3

ベルリン条約でボスニア・ヘルツェゴヴィナを併合したのはオーストリアです。

これがスラヴ・ゲルマンの対立を増幅し、セルビア人の青年がオーストリア帝位継承者夫妻をサライェヴォで暗殺する事件につながります。

正解は③です。

問4

・第二次世界大戦後に日本を占領したのはアメリカを中心とした連合軍です。

・ニクソン大統領はアメリカの大統領です。

・日本が1956年に国交を回復した相手はソ連です。(日ソ共同宣言)

よって、正解は①です。

問5

・X:ニクソンの訪中は1972年、ベトナムからの米軍の円滑な撤退などが目的です。

・Y:問4の結果より、中国とソ連が締結した条約なので中華人民共和国成立直後(1950年)の中ソ友好同盟相互援助条約です。

・Z:ニクソンによる訪中のおよそ半年後、日本の田中角栄首相も訪中して日中共同声明をだします。

よって、順番はY⇒X⇒Zで正解は③です。

問6

アメリカがサンフランシスコ平和条約での日本の独立を急いだ背景には朝鮮戦争があります。そして、朝鮮戦争とは大韓民国を支援するアメリカと北朝鮮を支援するソ連・中国との戦争です。

また、当時の国際連合における中国の代表権は台湾にある中華民国政府が持っています。

国共内戦の名残ですね。この事実も想起する必要がありました。

以上から、正解は②です。

問7

エは「古代インドで多くの文学作品が書かれた」言語です。

したがって、サンスクリット語であると判断し、『シャクンタラー』を選びます。

『ルバイヤート』はイラン人の詩人ウマル=ハイヤームの作品です。

また、

「残りの半数はアラビア語を推しています」

「否定する人を見出せませんでした」

から、Wが○でXが×だとわかります。

よって、正解は①です。

問8

先生の発言「英語も使えるインド人役人を必要としており」から、「え」が正解だとわかります。

また、イギリスはインド統治にあたりインド人が一致団結してイギリスに抵抗しないよう分割統治を徹底しました。特に、ヒンドゥー教徒とイスラーム教徒との対立を利用することに力を入れました。

以上より、③が正解だとわかります。

問9

②があまりにも有名な事実であるため、直接「これだ!」と選んでほしい問題です。

①:ムガル帝国時代に成立した言語はウルドゥー語です。

③:ワヤンが発展したのはジャワ島です。

④:ウルグ=ベクはティムール朝の君主です。

第5問

問1

「オレンジ」「オリーヴ」「ワイン」「イタリア半島と北アフリカとの間」「ガリバルディ」といった記述から、シチリア島についての記述であるとわかります。

①:「ラテン語からアラビア語への翻訳」です。これが誤っています。

問2

「ヨーロッパの島国の首都」「万国博覧会」「紅茶」といった記述から、ロンドンに関する記述であるとわかります。

イギリスが関わった14世紀~15世紀の戦争(長期間の戦争)ということで、百年戦争について問われていると考えることができます。

百年戦争では

①フランスでのカペー朝断絶の後の王位継承権

②毛織物が盛んなフランドル地方

などが争われました。

また、アに入るフランスは第一次世界大戦後にドイツのルール工業地帯を占領しています。

カルマル同盟でデンマークと合併したのはスウェーデンとノルウェーです。

以上より、正解は①です。

問3

地域3は「イオニア人」「ポリス」「近代オリンピック第1回大会」とあるのでギリシアのアテネであると判断できます。

よって、この問いは

「シチリア島」「ロンドン」「ギリシア」を古代ローマが支配した順に並べなさい

という問題であると判断できます。

そこで、

ポエニ戦争によるシチリア島支配⇒東地中海への進出によるギリシア支配⇒ガリア方面への遠征

と考えて②が正解です。

問4

この設問の舞台が「朝鮮」であることから、ウは「い」が正解だとわかります。

西太后は清の人物です。

また、写真に「洋」「夷(えびす・い)」「侵犯」とあるのでYが正解だと考えます。

よって、正解は④です。

問5

朝鮮王朝は儒学を重んじ、科挙を実施していました。

よって、儒学について述べている選択肢を選びます。

①:道教についての記述です。

②:朱子学についての記述です。朱子学は儒学です。

③:仏教についての記述です。

④:道教の一派、全真教についての記述です。

問6

壬午軍乱⇒甲申事変⇒甲午農民戦争

の順に発生しました。

いずれも十干十二支を用いて出来事名をつけています。

(我々日本人に馴染み深い十干十二支の例は甲子園や戊辰戦争があります。)

以上で共通テスト2021世界史の解説を終わります!

おすすめの記事